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情報持ち出しの社内不正、4〜5月に多発発覚のきっかけは“パソコンの勝手な初期化”など
2025.04.30
退職や人事異動の多い4〜5月に社内情報を不正に持ち出す事案が集中して発生している。
電子データの保全・分析を行うデジタルフォレンジック企業に相談があった220社を調査したところ、約46%が従業員や退職者による情報持ち出しの相談だった。顧客情報や技術資料、業務データなど、他社で利用価値の高い情報が多く含まれていた。
情報漏洩が発覚するきっかけには、「頼んでもいないのにPCが初期化された」「パスワードを忘れたと引き継ぎを拒否した」「同僚からの通報」など、社員の不審な行動がある。同社は過去に初期化されたPCから数千件のメールを復旧し、不正の実態解明に至った例もある。
こうした持ち出しによって、設計図やノウハウを競合他社に使われる、顧客を自らの新会社へ誘導するメールが見つかるといった被害が出ている。デジタルフォレンジックは最近ではフジテレビ問題の調査でも活用され、認知が広がる中で依頼も増加している。
警察による不正競争防止法違反での摘発は昨年22件と、ここ5年ほど20件台で推移。一方で企業からの相談は増加しており、昨年は79件。背景には転職や独立の活発化、海外への技術流出への懸念がある。警察は企業に対し、営業秘密の範囲を明確にし、持ち出し禁止やアクセス制限などセキュリティ強化を呼びかけている。